テキーラのラベルの読み方
テキーラのボトルには、法律で書くことが決められた情報が並んでいます。読み方を知っていると、棚の前に立った1分で「これはどういう素性の酒か」がかなりの精度でわかるようになります。順番に見ていきましょう。
1. NOM番号 — ラベルでいちばん面白い4桁
裏ラベルに小さく「NOM 1234」のような表記があります。これはそのテキーラを蒸留した工場(蒸留所)に、CRT(テキーラ規制委員会)が付与した固有の認証番号です。
ここが決定的に重要です。ブランド名と蒸留所は一対一ではありません。 ひとつの蒸留所が何十ものブランドを製造していることは珍しくなく、逆に有名ブランドが実は別会社の工場で造られていることもあります。
逆に言えば、まったく無関係に見える2つのブランドが中身はよく似ている、ということも起こります。値段だけが3倍違う、ということも。NOMを見る癖がつくと、こうした構造が見えるようになります。
2.「100% de agave」— あるかないかで別の酒
表ラベルに 100% de agave(または 100% puro de agave、100% agave)と書かれていれば、糖分がすべてアガベ・アスル由来の100%アガベテキーラです。
この記載がない場合、それは通称「ミクスト」。アガベ由来の糖は51%以上で、残り最大49%は他の糖(サトウキビ由来など)でよいとされています。
探すときのコツ: 「100%」の文字がなければミクスト、と覚えておけば間違いません。安価な大量流通品の多くはこちらです。
3. クラス表記 — 熟成の長さ
| 表記 | 熟成期間 |
|---|---|
| Blanco / Silver / Plata | 熟成なし〜60日未満 |
| Joven / Oro / Gold | ブランコと熟成酒のブレンド等 |
| Reposado | 樽で2ヶ月以上1年未満 |
| Añejo | 600L以下の樽で1年以上3年未満 |
| Extra Añejo | 600L以下の樽で3年以上 |
加えて、熟成酒をろ過して無色にした Cristalino という表記もよく見ます。これは正式なクラス名ではなく、製法を示す商品表現です。
4. 色は「熟成の長さ」を意味しない
ここは多くの人が引っかかる落とし穴です。テキーラは規則上、着色料(カラメル色素)の使用が認められています。したがって色の濃さと熟成期間は必ずしも比例しません。
2ヶ月しか寝ていないレポサドが、3年もののアネホより濃い色をしていることは実際に起こります。色ではなくクラス表記を見てください。この点は無添加テキーラとは何かで詳しく扱っています。
5. その他の表記
- Hecho en México — メキシコ製の表示。テキーラである以上これは必ずあります
- CRTのマーク/登録番号 — 規制委員会の認証を受けている証
- Alc. 35〜55% Vol. — 度数。テキーラは35〜55%の範囲と定められています(日本流通品は多くが38〜40%)
- Envasado de origen — 原産地でボトリングされたことを示す表記。バルクで輸出して現地で瓶詰めしたものと区別されます
棚の前での実践手順
- 表を見る → 「100%」があるかを確認
- クラス表記を見る → ブランコ/レポサド/アネホのどれか
- 裏を見る → NOM番号を控える
- 気に入ったら、同じNOMの他ブランドを探す
この4ステップだけで、テキーラの選び方は「ラベルの雰囲気と値段」から「素性を理解した上での選択」に変わります。
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主な参照: NOM-006-SCFI-2012(メキシコ公式規格)/CRT(Consejo Regulador del Tequila)公表情報