テキーラとは何か
テキーラは、メキシコの特定地域で、アガベ・アスル(Agave tequilana Weber, variedad azul/竜舌蘭の一品種)を原料として造られる蒸留酒です。ウイスキーにおけるスコッチ、ワインにおけるシャンパーニュと同じように、「どこで・何から・どう造るか」が法律で厳格に定められた原産地呼称(DO: Denominación de Origen)のお酒で、条件を満たさないものはテキーラと名乗れません。
テキーラを名乗れる場所 — 5つの州
テキーラの原産地呼称は1974年に登録されました。認められているのは次の5州にまたがる181市町村だけで、メキシコ全土で造れるわけではありません。
| 州 | 対象 | 市町村数 |
|---|---|---|
| ハリスコ州 | 全域 | 125(全市町村) |
| ミチョアカン州 | 一部 | 30 |
| タマウリパス州 | 一部 | 11 |
| ナヤリット州 | 一部 | 8 |
| グアナファト州 | 一部 | 7 |
数字が示すとおり、ハリスコ州だけが全域対象で、市町村数でも全体の約7割を占めます。テキーラ市やロス・アルトス地方といった生産の中心地はすべてこの州にあり、残る4州は「飛び地」的に指定された市町村に限られます。
ルールを定めるのがメキシコ公式規格NOM-006(現行はNOM-006-SCFI-2012)、それを検査・認証するのがCRT(テキーラ規制委員会)です。ボトルの裏に書かれた「NOM 1234」のような4桁の番号は、そのテキーラを造った蒸留所の認証番号。銘柄が違ってもNOMが同じなら、同じ蒸留所で造られています。ここがテキーラ選びのいちばん面白い入口です(蒸留所データベースで引けます)。
2つのカテゴリー — 100%アガベとミクスト
| カテゴリー | 原料 | ラベル表記 |
|---|---|---|
| 100%アガベテキーラ | 糖分の100%がアガベ・アスル由来 | 「100% de agave」「100% puro de agave」等 |
| テキーラ(通称ミクスト) | アガベ由来の糖が51%以上(残りは他の糖でよい) | 単に「Tequila」 |
ラベルに「100%」の記載がなければミクストです。近年の世界的なプレミアム化で主役は完全に100%アガベに移っており、2025年の輸出では68%が100%アガベでした(最新マーケット統計)。
5つのクラス — 熟成による分類
| クラス | 熟成 | 特徴 |
|---|---|---|
| ブランコ(Blanco) | 熟成なし〜60日未満 | アガベそのものの風味が最も直球で出る |
| ホベン(Joven/Oro) | ブランコと熟成テキーラのブレンド等 | ゴールドと呼ばれることも |
| レポサド(Reposado) | 樽で2ヶ月以上1年未満 | アガベ感と樽の甘香のバランス |
| アネホ(Añejo) | 600L以下の樽で1年以上3年未満 | バニラやカラメルの厚み |
| エクストラアネホ(Extra Añejo) | 600L以下の樽で3年以上 | 2006年に追加された最長熟成クラス |
また正式なクラスとは別に、熟成したテキーラを活性炭などでろ過して無色に仕上げたクリスタリーノ(Cristalino)という人気の表記があります。
次に読む
主な参照: NOM-006-SCFI-2012(メキシコ公式規格)/CRT 原産地呼称(Consejo Regulador del Tequila)。対象市町村数は原産地呼称の指定範囲(5州・計181市町村)に基づきます。