テキーラの種類 — 二つの軸で理解する
「テキーラの種類」を調べると、ブランコ、レポサド、アネホ……と熟成の話が出てきます。でもそれは二つある軸のうちの一つにすぎません。もう一つの軸を知ると、選び方が一段はっきりします。
軸①:カテゴリー(何からできているか)
| カテゴリー | 原料 | ラベル |
|---|---|---|
| 100%アガベテキーラ | 糖分の100%がアガベ・アスル由来 | 「100% de agave」等の明記あり |
| テキーラ(通称ミクスト) | アガベ由来51%以上、残りは他の糖でよい | 単に「Tequila」 |
- 100%アガベ — 27,862万L
- ミクスト — 12,937万L
この軸のほうが、味の差は大きく出ます。 ミクストは他の糖由来のアルコールが混ざるため、アガベの植物的な甘みや土の香りが薄まり、シャープでニュートラルな酒質になりがちです。「テキーラは苦手」という記憶の多くは、実はミクストのショット体験だったりします。
軸②:クラス(どれだけ樽で寝かせたか)
| クラス | 熟成期間 | 味の傾向 |
|---|---|---|
| ブランコ (Blanco / Silver) | 熟成なし〜60日未満 | アガベそのもの。青々しい植物感、白胡椒、柑橘。蒸留所の個性がいちばん出る |
| ホベン (Joven / Oro) | ブレンド等 | ブランコに丸みを足した中間。廉価帯に多い |
| レポサド (Reposado) | 樽で2ヶ月〜1年未満 | アガベ感を残しつつバニラや蜂蜜が乗る。最もバランス型 |
| アネホ (Añejo) | 樽で1〜3年未満 | カラメル、ドライフルーツ、樽の厚み。ウイスキー好きに橋渡ししやすい |
| エクストラアネホ (Extra Añejo) | 樽で3年以上 | 2006年新設。重厚だがアガベ感は退く |
クリスタリーノという例外
熟成したテキーラを活性炭などでろ過し、樽由来の色だけを抜いて透明にしたものがクリスタリーノです。見た目はブランコ、味は熟成酒という不思議な立ち位置で、近年人気があります。正式なクラス名ではなく商品表現です。
よくある誤解を3つ
誤解1「熟成が長いほど高級で美味しい」
値段は上がりますが、優劣ではありません。長く樽に置くほど樽の風味が主役になり、アガベらしさは失われていきます。テキーラの個性を味わいたいならブランコが最短距離です。
誤解2「色が濃い=長く熟成している」
テキーラは着色料の使用が認められています。色と熟成期間は必ずしも比例しません(詳しくはこちら)。
誤解3「テキーラは一気に飲むもの」
塩とライムでショット、という飲み方は主にミクスト時代の文化です。良質な100%アガベはゆっくり常温で味わうのが世界的な主流になっています。
最初の一本、どう選ぶか
- まず100%アガベを選ぶ。 ここだけは妥協しない価値があります
- ブランコから始める。 造り手の実力とアガベの質がいちばん素直に出ます。「テキーラとはこういう味だったのか」という発見はたいていブランコで起こります
- 樽の風味が好きならレポサドへ。 ウイスキーやラム好きの入口として自然です
- 気に入ったらNOM番号を控える。 同じ蒸留所の別ブランドを試すのが、次の一本を外さないいちばんの近道です(ラベルの読み方/蒸留所データベース)
テキーラの街は点数をつけません。見知らぬ他人の平均点より、あなたが「あの夜おいしかった」と思った記録のほうが、次の一本を選ぶときにずっと役に立つからです。
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主な参照: NOM-006-SCFI-2012(メキシコ公式規格)/CRT(Consejo Regulador del Tequila)公表情報